WORKS
実績紹介
サンポスト(自社企画)
渋谷にアートを! 渋谷西武A館4階の365カフェに絵画作品を企画・展示
アルタミラ洞窟の壁画を例に取るまでもなく、人類は太古から壁に絵を描くという行為を続けてきました。壮大な物語を取り込んだ宗教画を描き、また日本の襖絵にように自然の風物を描くことで部屋に居ながらにして四季の自然を満喫するなど、絵画はさまざまに発展、楽しまれてきたのです。いわば絵画は暮らしの延長線上にありました。ところが現在、芸術作品を見るというと、すぐに美術館や画廊を連想してしまいます。でも、どちらもちょっと敷居が高いと思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで、もっと気軽に芸術作品が楽しめたら……との思いで企画・展示を行っているのが渋谷西武A館4階の365カフェ・アートギャラリーです。1ヵ月~1ヵ月半のスパンで作品展を開催。お茶を飲み、会話を楽しみつつ多彩な作品に触れることができる、そんなアート空間の演出を手がけています。
第1回作品展 宮嶋結香 2021.5.19-6.30開催
東京・渋谷の喧騒から逃れてゆっくりお茶を楽しみたい。そんな方のための365cafe。そこの壁面をアートギャラリーにしたら……という企画が立ち上がったとき、真っ先に思い浮かべたのが宮嶋結香さんの作品でした。優しくって、生きる喜びに溢れていて、観る人を静かに勇気づけてくれる、そんな愛情溢れる作品。
第2回作品展 小西郁江 2021.7.3(sat)~8.17(tue)開催
小西郁江さんの作品を初めて見たとき、なぜか“懐かしい”と感じました。いったいなぜ懐かしいのか。考えを巡らして行き着いたのは、子どもの頃に見たり感じたりした風景がそこに描かれているからではないか、ということでした。空いっぱいの朝焼けや、でんと空に居座る雲。そういった自然の事物そのものを、余計なものを排除して、その核心を捉えている。大人になるに従って失ってしまった、いわば子どもの目がそこにある。だから懐かしいと感じたのではないかと思ったのです。「僕らと雪山のひかり」にしても、雪がじゃんじゃん降っているのに、わーっと叫んでそこに飛び出して行きたくなる……そんな気持ちにさせてくれます。
第3回作品展 保立葉菜 2021.8.20(fri)~10.5(tue)開催
保立葉菜さんは元気いっぱいの少女がそのまま大人になったような、そんな素敵な女性です。とにかくその作品の絵柄がとても楽しく、「永遠の夏休み」という言葉を思い描いてしまいます。そう、子どもの頃の絵日記にもどこか通じるような、いろんなことに興味深々、探究するうちに、いつしか作品世界が出来上がっている、そんな気がするのです。しかもなんとこれが木版画で。保立さんの明るく魅力溢れる木版画の世界を存分にお愉しみください。
第4回作品展 井上りか子 2021.10.7[木]-11.16[火] 開催
今回は喫茶店という空間の制約上、小さめの作品しか展示できませんでしたが、井上りか子さんが本領を発揮するのは、100号くらいの大きな作品。まず思い浮かぶ言葉は、「自由奔放」。筆致が実に伸びやかで、溢れるイメージを素早くキャンバスに定着させた作品には、力強さが漲っています。その一方で、小さな人(動物?)がたくさん登場するインスタレーションもあり、静と動、個と群がせめぎ合っていて見飽きることがありません。今年美術大学を卒業したばかりとまだ若いこともあって、この先がとても楽しみなアーティストのひとり。日々、どのように制作に臨んでいるのか、将来についてなど、インタビューで深彫り
第5回作品展 松本弦 2021.11.19[金]-12.20[月]開催
ヒップホップ文化の一画で、音楽などとも密接に関わりながら芸術活動を行っていきたいと語る松本弦さんは、金沢美術工芸大学の4年生。自由気儘に描き殴ったかのように見える作風の中に、あらゆる束縛から逃れ、自由に羽ばたきたいという強い思いが感じられます。作品にメッセージを込めるのではなく、いかに描いていて気持ちいいか、自分自身の解放へと向かうために制作しているとも語ります。なにかと閉塞感で身動きが取れなくなりそうな世の中、まずは自分を解放することから、新しい一歩が始まるのかもしれません。
第6回作品展 西村陽一郎 2021.12.22[水]-2022.2.1[火]開催
365カフェアートギャラリー、第6回目は写真家の登場です。初めて西村さんの写真を拝見したのは、逗子の小さなギャラリーでした。貝殻をモチーフにした作品は、画廊の白い壁の上で、青く光って見えました。重なり合う貝を見ていると、まるで海の底にいて静かに海の物語を聞いているかのような、そんな不思議な気持ちになりました。今回は花をモチーフにした作品を展示します。スキャングラムというカメラを使わずに撮る技法で作品を制作。その妖艶な作品世界が存分にお楽しみいただけるのではないかと思います。
第7回作品展 サトウテン 2022.2.3[木]-2022.3.15[火]開催
「まさに精緻。極細の線の集合体に圧倒的な迫力と優雅さが同居している作品が見る者の心を虜にする。その世界に入り込んだらもう抜け出せない……」。サトウテンさんの著作に『BLUEHALL 夜明けのまちを歩く』があるのですが、創造された都市の迷宮から抜け出せなくなった人は、いったい何人いるのでしょうか。かく言う私もそんなひとり。余談ですが、昔旅したヘルシンキの旧市街を思い浮かべ、懐かしさに心躍らせてのインタビューとなりました。今回はサトウテンさんの魅力全開の展覧会。インタビューと併せ、ぜひお愉しみください。
第8回作品展 前田茜+川原萌 2022.3.17[木]-2022.4.27[水]開催
365cafe art galleryの作品展も8回目を迎えました。今回は日本画の新鋭お二人の登場です。白状すれば私の美術に対する意識は、これまで完全に西洋絵画に向いていました。いま現在日本に居るにもかかわらず、です。尾形光琳がどうの雪舟がどうのといったところで、それは知識としての範疇であって、等価に楽しむことがなかったような気がするのです。ところが今回お二人の作品を拝見して心の底がざわつきました。静かで、ひっそりとしていて、透明で、味わいがあり、そこに描かれたものが、見れば見るほど愛おしくなってきたのです。この深淵で神秘的な日本画の世界を、カフェギャラリーでご紹介できることをとても嬉しく思います。インタビューと併せてぜひお楽しみください。
第9回作品展 くらちなつき 作品展 2022.4.29[金]- 6.15[水]開催
多くの女性たちを魅了してやまないファッション・イラストレーション。本来は、ファッションデザイナーが自作の服を制作する前にアイデアを紙に描いてスタッフや関係者と共有するためのものですが、そのスタイルをベースに、人物の背景を描き込むことで、独自の世界観を創り上げているのが、くらちなつきさん。油画の絵筆をiPadに代えて、最新ソフトを自在に使いこなして仕上げた作品には、優美さと洗練さが漂っています。ぜひお楽しみください。
第10回作品展 てんてん 作品展 2022.6.17[金]- 8.2[火]開催
これまで油絵、日本画、木版画、写真などさまざまな分野の作品をご紹介してきた365カフェアートギャラリー。記念すべき10回目にあたる今回は、切り絵作家、永井天智さんの登場です。文字通り、紙をカッターで切り抜いて描いた「切り絵」は、それ自体が精緻な絵画であるとともに、それを浮かせて光を当てると、これまたまったく違った幻想世界が出現します。一方、舞台美術の世界でも活躍する永井さん。切り絵と空間芸術との関係は?など、制作の秘密に迫ります。作品展と併せ、ぜひお楽しみください。
第11回作品展 めんトリ展 2022.8.4[木]- 9.14[水]開催
〈面倒だがトリあえず返信〉の「めんトリ」で登場したLINEスタンプ。現在では妹や友達も登場し、スタンプばかりではなく、グッズや各種コラボ商品、はたまた料理にと大活躍。2017年7月には、台湾限定LINE公式アニメーションスタンプを配信し、LINE公式台湾チャートで初登場2位を獲得。いまや日本のみならず海外でも愛されるキャラクターに育っています。めんトリの中心となる制作者は、美大でインタラクティブアートを専攻した俊英。今回は、現代美術の話題は脇に置き、めんトリと仲間の誕生の秘密に迫ってみたいと思います。
第12回作品展 三田宏行 版画展 2022.9.16[金]-10.27[木]開催
子どもの頃、朴の木の板に絵や文字を彫り、それを版にして年賀状を刷ったという方も多いのではないでしょうか。筆で描くのとはまた違った味わいが、そこに生まれたように思います。日本の木版印刷は、百済からもたらされた経木木版を刷った文字印刷が始まりといいます。現存する印刷物で世界最古というのが、770年に法隆寺に納められた仏教経典「百万塔陀羅尼(ひゃくまんとう・だらに)」なのだとか。ちなみに木版画には大きく分けて板目木版と木口木版の2種類あります。板目木版というのは、木を繊維の方向に縦に切り出した板目板を版にしたもの。浮世絵をはじめ、学校で習う版画はたいてい板目木版です。それに対して木口木版は、木を水平に切った断面を版にしたもの。今回登場するのは、木版の中でも高度な技術を要する木口木版の俊英、三田宏行さん。一見、銅版画とも思える極細の線を、木版画で描き出していて、その重厚さに圧倒されます。静謐にして深遠なる三田版画の世界をぜひお愉しみください。
第13回作品展 小林野々子展 2022.10.29[土]-12.14[水]開催
深い森の奥では、鳥や獣や虫たちがひっそりと息をひそめ、光の届かない闇の中で、妖精たちが楽しく暮らすのを眺めている。そこは人間には見えない異次元の空間。時空のねじれが細い山道をメビウスの輪のようにくねらせ、奥へ奥へと進んでいるようで、いつしか元の所に戻ってしまう。だから誰も森の奥の真の姿を見ることはできない。見ることが許されるのは森の使者だけ。そう、小林野々子さんは、深い森から遣わされた使者なのだ。われわれは、小林さんの絵を通じて、夜の森を見、森を感じて、森を楽しむことができる。登場する精霊の名はシメリケという。神秘的で静謐で、けれどもそこは無音ではない。作品からいろいろな音楽が聴こえてくるような、そんな小林野々子ワールドをぜひお愉しみください。
第14回作品展 大谷津紗和展 2022.12.17[土]- 2023.2.1[水]開催
ちょっと憂いを帯びた人物、優しい色彩の静物、見る人の心に静かに入り込んでくる一見親しみやすい絵画でありながら、実はそこには見えない穏やかな毒が仕込まれている。みな、いつしかその毒にやられてしまい、思考を停止し、作品世界に取り込まれてしまう。ちょうどある種の水母が触手によって獲物を麻痺させるかのように。そっと、ふわりと、気づかないうちに襲われ、痺れるのだ。おそらくその不可解さ、不思議さ、深遠さは作者が意図したものではなく、まだ方向性が定まっていない、限りなき可能性を秘めた内なるエネルギーによって表現されたものに違いない。作品を前に、素直に楽しむのもよし。またダブルミーニングを読み取るべく、思案するのもまたよし。いろいろな捉え方ができる大谷津紗和さんの作品世界。その裏側に迫ってみたいと思います。
第15回作品展 ヒメルゲビルデ作品展 2023.2.3[金]- 3.14[火]開催
ある日出会ったふたりは意気投合し、ひとつのユニットを結成します。その名は「ヒメルゲビルデ」。発生し構築されてゆく空やそこから生まれるもの、というような意味のドイツ語を日本語で読んだものといいます。雲や森が育ってゆくイメージを作品に重ねているのだとも。以前から日本の森林浴に興味があったというソーニャ・カンノさんと、自然豊かな島根で生まれ育った小西郁江さん。最終形は違っていても、その根底には自然や宇宙に対する同じような関わり方や考え方が見て取れるのではないでしょうか。モノトーンの味わいが絶妙なカンノさんの作品と優しい色彩に癒される小西さんの作品。お二人の共演をぜひお愉しみください。
第16回作品展 みついえゆうさくの ひきだし展 2023.3.16[木]- 4.26[水]
繊細で優しい色彩の中に浮かぶ、ほのぼのとしたユーモラスな情景。見ているだけで自然と心穏やかになれそうな、癒やし効果たっぷりの作品です。手がけたのは東京・町田市在住のイラストレーター、光家有作さん。画材を伺うと、メインは色鉛筆なのだとか。色鉛筆といえばクレヨンとともに、子ども時代から馴染みのある画材。こんなに素敵な表現が可能だったとは、と、改めて色鉛筆のよさを見直した次第です。とはいえそれはテクニックがあればこそ、なのは言うまでもありません。ひきだしの中には愛らしい動物や不思議な世界がぎっしり。光家さんならではの愛らしい世界をご堪能ください。